自館の名簿で、氏名・住所・連絡先を確認する
宿泊者名簿の様式を見直すフロント責任者は、まず氏名・住所・連絡先の欄を確認してください。2023年12月13日の旅館業法改正で、国の記載事項から「職業」が削除され、「連絡先」が加わりました。古い用紙や入力フォームを使っている場合は、受付手順も併せて見直します。
保存期間は名簿を作成した日から3年間。国籍・旅券番号の追加記載が必要なのは、日本国内に住所を有しない外国人宿泊者です。ここでは旅館業法の許可を受けたホテル・旅館の名簿を扱います。
確認日:2026年9月11日。出典:厚生労働省「旅館業法改正」、旅館業法施行規則第4条の2
旅館業法が定める宿泊者名簿の記載項目
旅館業法第6条と同施行規則第4条の2に基づく項目は、次のとおりです。
全国共通の記載事項
- 氏名:宿泊する人を確認できるよう、正確に記録します。
- 住所:記載が不足している場合は、受付時に確認します。
- 連絡先:連絡先を記録する欄を設け、空欄があれば記入を依頼し、受付担当者が確認する手順にします。
- 国籍・旅券番号:日本国内に住所を有しない外国人宿泊者について追加します。
施行規則には、都道府県知事が必要と認める事項も記載すると定められています。宿泊年月日など、自館の所在地で求められる項目を管轄保健所の様式・案内と照合します。
古い「職業」欄と、新しい「連絡先」欄
職業は、現在の旅館業法における全国共通の必須項目ではありません。「法律で必須です」と宿泊者に説明している手順書は訂正します。自治体の追加要件と、自館が独自に収集する情報については、根拠・利用目的を分けて確認してください。
代表者のみの記載でOKか?同行者は必須か?
宿泊者名簿は、実際に宿泊する人全員について備えます。予約者や代表者1人の情報だけで、同行者全員の記録を代用できると考えないでください。
代表者がまとめて記入することと、代表者の情報しか残さないことは異なります。受付担当者は、予約の人数と名簿に記録した人数を照合します。
家族・団体の受付で確認すること
- 家族で住所が同じ場合:「同上」などの記載方法が認められるか、管轄保健所に確認します。
- 団体の参加者名簿を使う場合:必要項目がそろうか、当日の参加者変更を反映できるかを確認します。
- 子どもを含む場合:子どもの記録も確認し、住所・連絡先の記載方法を管轄保健所に確認します。
確認した記載方法をフロント手順書に残し、家族・団体の受付を担当するスタッフへ共有します。
保存期間は「作成した日から3年間」
旅館業法施行規則第4条の2は、宿泊者名簿を作成の日から3年間保存すると定めています。宿泊日やチェックイン初日を、作成日とは別の一律の起算日にする説明は誤りです。
たとえば、2026年9月11日に作成した名簿は、その日から3年間が法定保存期間です。保管台帳やシステムで作成日を確認できるようにし、保存期間を満たす前に廃棄する設定になっていないか点検します。
名簿を備える場所は、旅館業の施設または営業者の事務所です。個人情報を扱うため、閲覧できる担当者を決め、保存期間を満たした後は他の保存理由の有無も確認して廃棄します。紙は裁断・溶解処理など、内容を読み取られない方法で処理してください。
紙と電子保存は、照会への対応まで比べる
宿泊者名簿は電子保存も認められています。厚生労働省の書面保存に関する省令第4条では、必要時に内容を直ちに画面へ明瞭に表示し、書面を作成できる状態などを求めています。名簿を画像にして保存するだけでなく、受付後の検索・提示まで確認します。
出典:厚生労働省の所管する法令に基づく書面保存等の情報通信技術利用に関する省令。具体的な運用は管轄保健所にも確認してください。
紙で続ける場合
- 受付時に記載漏れと読みにくい文字を確認する。
- 作成日ごとの保管場所を決め、照会された名簿を取り出せるようにする。
- 鍵のある保管場所や閲覧担当者を決め、紛失・持ち出しを防ぐ。
電子保存へ移る場合
- 氏名・住所・連絡先と、条件に応じた国籍・旅券番号を記録できるか確認する。
- 作成日から3年間保存できるか、解約・システム変更時にも記録を引き継げるか確認する。
- 必要な名簿を検索し、画面表示・印刷できるか試す。
- 閲覧権限、バックアップ、停電・障害時の受付方法を決める。
受付時の記載漏れを防ぐ
住所・連絡先が空欄
記入例を用紙やフォームに示し、受付担当者が空欄を確認します。以前の用紙に連絡先欄がない場合は、様式自体を見直します。
同行者の記録がない
記入した代表者に人数を確認し、名簿の記録と照合します。団体名簿を使う場合も、当日の追加・取消を反映します。
旅券確認の対象を取り違える
国籍・旅券番号の追加記載は、日本国内に住所を有しない外国人宿泊者が対象です。厚生労働省は、この対象者について旅券の提示を求め、写しを名簿とともに保存するよう案内しています。外国籍という理由だけで、日本に住所がある人にも同じ追加義務があるとは説明しないでください。
出典:厚生労働省「日本国内に住所を持たない外国人の方の旅券の呈示等について」
フロント責任者の確認リスト
- 氏名・住所・連絡先の欄があり、同行者も記録しているか。
- 自治体の追加項目と、自館の様式を照合したか。
- 国籍・旅券番号の対象条件をスタッフが確認できるか。
- 作成日から3年間保存し、必要時に名簿を提出できるか。
- 紙・電子のどちらも、閲覧と廃棄の担当者が決まっているか。
まず現在の用紙・入力画面と、この確認リストを照合します。修正する項目と担当者を決め、変更した受付手順をフロントの朝礼や引き継ぎで共有してください。
