チェックインカードに書かれた文字を、もう一度PMSに打ち直す── この作業、1日何回やっていますか

ゲストがカウンターで記入した宿泊者カード。名前、住所、電話番号、職業。その情報を、フロントスタッフがPMS(宿泊管理システム)に手入力する。入力が終わったら、カードとPMSの画面を見比べて確認する。間違いがあれば修正。なければ次のゲストへ。

この「手書き → 転記 → 確認」の3ステップは、多くの施設で当たり前のように行われています。しかし、冷静に見ると、これは同じ情報を2回入力し、さらに1回照合しているということです。100室施設で稼働率80%なら、1日約80回。1件あたり転記に2分、確認に30秒として、合計で1日3時間以上をこの作業に費やしている計算になります。

二度手間が発生する3つの場面

場面1:チェックイン時の宿泊者情報

もっとも典型的なケースです。ゲストが紙のカードに記入した情報を、スタッフがPMSに転記します。手書きの文字が判読しづらい場合は、ゲストに確認を取る作業も加わります。特に外国人ゲストのアルファベット表記は、読み間違いが発生しやすいポイントです。

2分
1件の転記時間
80件
1日の転記回数(100室)
3時間+
1日の転記・確認合計

場面2:電話予約の受付

電話で受けた予約内容をメモに書き、電話を切ったあとにPMSに入力する。これも二度手間です。さらに、メモの字が汚くて自分でも読めない、メモを紛失した、といったトラブルが起きるのもこの場面です。

場面3:OTA予約の手動取り込み

サイトコントローラーとPMSが完全連携していない施設では、OTA(じゃらん、楽天トラベル等)の予約情報をPMSに手動で入力しています。予約者名、宿泊日、部屋タイプ、料金、備考── OTAの管理画面とPMSを交互に見ながらの入力作業は、1件あたり3〜5分かかります。

二度手間のコストは「時間」だけではありません。
転記のたびに入力ミスが発生するリスクがあります。名前の誤り、部屋番号の取り違え、料金の打ち間違い。これらのミスは、チェックイン時のトラブルや精算時の差額発生につながり、ゲストの信頼を損ないます。

なぜ二度手間はなくならないのか

「そんなことはわかっている。でも、やめられないんだ」── フロント担当者からよく聞く言葉です。二度手間がなくならない背景には、いくつかの構造的な理由があります。

理由1:紙の宿泊者名簿が法的に必要だと思っている

旅館業法は宿泊者名簿の作成・保存を義務付けていますが、紙であることは要件ではありません。電磁的方法(デジタル)での作成・保存も認められています。それにもかかわらず、「紙で残さないといけない」という思い込みが残っている施設は少なくありません。

理由2:PMSの入力画面が使いにくい

PMSの入力フォームが複雑で、操作に時間がかかる。そのため、「まず紙に書いてもらって、あとでまとめて入力したほうが早い」という判断になる。これは一見合理的ですが、結果として二度手間を常態化させています。

理由3:既存のオペレーションを変えることへの抵抗

「ずっとこのやり方でやってきたから」「新しい仕組みを入れると、スタッフが混乱する」。現場の安定を優先するあまり、非効率な手順が固定化されるパターンです。

入力経路を一本化する── 3つのアプローチ

アプローチ1:ゲスト自身がデジタルで入力する

事前チェックインの仕組みを導入し、ゲストがスマートフォンで直接情報を入力します。入力されたデータはPMSに自動連携されるため、フロントスタッフの転記作業はゼロになります。手書きの判読問題も発生しません。

アプローチ2:フロントでタブレット入力に切り替える

紙のカードの代わりにタブレットを使い、ゲストに直接デジタルフォームへ入力してもらいます。事前チェックインほど根本的ではありませんが、転記作業を1ステップ削減できます。

アプローチ3:サイトコントローラーとPMSの連携を完全にする

OTA予約の手動取り込みが発生している場合、サイトコントローラーとPMSの連携設定を見直します。多くのPMSは主要OTAとの自動連携機能を備えていますが、初期設定が不完全なまま運用されているケースがあります。

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二度手間を洗い出すチェックリスト

自施設で発生している二度手間を特定するために、以下の項目を確認してみてください。

チェックが3つ以上ついた場合、入力経路の一本化によって1日1〜3時間の業務削減が見込めます。

「転記」をなくすと、何が変わるか

転記作業がなくなると、フロントスタッフの業務が単純に楽になるだけではありません。入力ミスが減ることで、チェックイン時のトラブルが減り、精算時の差額問題が減り、ゲストからの「予約内容と違う」というクレームが減ります。

さらに、転記に費やしていた時間をゲスト対応に回せるようになります。100室施設で1日3時間の転記作業がなくなれば、その時間は丸ごとサービスの質の向上に使えます。

二度手間は「しかたない」ものではなく、入力経路を設計し直せば解消できる構造的な問題です。まずは、自施設のどこで二度手間が発生しているかを洗い出すところから始めてみてください。