「502号室、今日は清掃なしでお願いします」── この連絡、誰が管理している?

連泊ゲストのAさんは、チェックイン時に「滞在中の清掃は不要です。タオルだけ交換してください」と伝えた。フロントスタッフはその場でメモを取り、翌朝の清掃リストに書き加えた。しかし、シフト交代後のスタッフはそのメモを見落とし、清掃チームに通常清掃の指示を出してしまった。Aさんが外出から戻ると、部屋はきれいに整えられていたが、デスクの上に広げていた仕事の資料がすべて片付けられていた。

連泊ゲストの清掃スケジュール管理は、見た目以上に複雑な業務です。ゲストごとに希望が異なり、日によって変わることもあります。この情報がフロントと清掃チームの間で正確に共有されていないと、ゲストの不満に直結します。

連泊清掃の3パターン

パターン1:通常清掃

毎日、チェックアウト清掃と同等の清掃を行う。ベッドメイク、バスルーム清掃、ゴミ回収、アメニティ補充。ゲストの私物が置かれている状態で作業するため、チェックアウト清掃よりも注意が必要です。所要時間は通常清掃の1.2〜1.5倍。

パターン2:簡易清掃(タオル・リネン交換のみ)

ベッドメイクとタオル交換、ゴミ回収のみ。バスルームの本格清掃は行わない。環境配慮(エコプラン)として推奨する施設も増えています。所要時間は通常清掃の半分程度。

パターン3:清掃辞退

清掃スタッフの入室自体を断る。「Do Not Disturb」の状態。ただし、衛生管理上、3泊以上連続で清掃辞退の場合は、施設側から清掃を提案するルールを設けている施設もあります。

管理が複雑になる理由

理由1:ゲストの希望が日によって変わる

「今日は出かけるので清掃してほしい」「明日は部屋にいるので清掃不要」。連泊ゲストの希望は一律ではなく、日ごとに変わる場合があります。この変更をリアルタイムでフロントと清掃チームの双方に反映する必要があります。

理由2:情報伝達の経路が多い

ゲストの希望は、チェックイン時にフロントで伝えられることもあれば、当日の朝に電話で伝えられることもあります。ドアに「Do Not Disturb」の札を掛けるだけの場合もあります。情報の入口が複数あるため、すべてを一元管理するのが難しくなります。

理由3:清掃チームへの伝達にタイムラグがある

フロントがゲストの希望を受けても、清掃チームがすでに作業を開始していることがあります。特に、朝の清掃開始後にゲストから「今日は清掃不要」と連絡が入った場合、清掃チームへの即時伝達が必要です。

30%
連泊ゲストの割合(ビジネスホテル)
3パターン
清掃の選択肢
日替わり
希望変更の頻度

管理を仕組み化する── 3つのアプローチ

アプローチ1:PMSの連泊清掃ステータスを活用する

多くのPMSには、連泊ゲストの清掃ステータスを部屋ごとに設定する機能があります。「通常清掃」「簡易清掃」「清掃辞退」をPMS上で管理し、清掃チームがPMS画面(またはPMSからエクスポートしたリスト)を確認して作業する流れをつくります。紙のメモや口頭伝達に依存しなくなるため、伝達漏れが大幅に減ります。

アプローチ2:事前チェックインで清掃希望を取得する

事前チェックインの仕組みを導入し、連泊ゲストに「滞在中の清掃について」の選択肢を事前に提示します。「毎日清掃」「タオル交換のみ」「清掃不要」から選んでもらうことで、チェックイン時のヒアリング工数がゼロになり、情報の正確性も向上します。

アプローチ3:当日変更のルートを一本化する

当日の清掃希望の変更は、客室内のQRコードからスマートフォンで申請する仕組みにします。電話や口頭ではなく、デジタルで申請されるため、フロントが受けて清掃チームに伝える手間がなくなり、情報の即時反映が可能になります。

フロント業務、もっとシンプルにできます

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「伝達ミス」をなくすことが、ゲスト満足の基盤

連泊ゲストにとって、ホテルの部屋は「一時的な自宅」です。自分が希望した清掃スケジュールどおりに部屋が管理されていることは、快適な滞在の基本条件です。逆に、希望が反映されていなかったときの不満は大きい。「清掃不要と言ったのに」「タオルだけと言ったのに全部片付けられた」── こうしたクレームは、サービスの質の問題ではなく、情報伝達の問題です。

フロントと清掃チームの間の情報伝達を仕組みで確実にすること。それが、連泊ゲストの満足度を安定させるもっとも確実な方法です。