Q.仙台市宿泊税はどのような制度か?

仙台市宿泊税は、2026年1月13日に施行された東北地方初の宿泊税です。仙台市宿泊税条例に基づき、仙台市内の宿泊施設に宿泊する者に対して課税されます。

税額は1人1泊あたり300円。内訳は仙台市分200円、宮城県分100円です。仙台市が宿泊施設を通じて300円を一括徴収し、うち100円を宮城県へ払い込む「県市併課モデル」を採用しています。この方式は福岡県・福岡市に次ぐ国内2例目です。

課税の判定基準は素泊まり・税抜で1人1泊6,000円以上。食事代やサービス料を除いた室料部分が6,000円に達するかどうかで判定します。

制度の背景

仙台市は東北地方最大の都市(人口約109万人)であり、東日本大震災後のインバウンド回復を経て、延べ宿泊者数は回復基調にあります。宿泊税の税収は観光振興・受入環境整備に特定して充当され、MICE誘致や多言語対応、観光コンテンツ整備の財源となります。

税額(合計)
300円/人泊
市税200円+県税100円
課税基準額
6,000円以上
素泊まり・税抜
施行日
2026.1.13
東北地方初

Q.どの施設・宿泊者が課税対象か?

課税対象施設

  • 旅館業法に基づく施設(ホテル営業・旅館営業・簡易宿所営業)。下宿営業は除く
  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出住宅

東京都や京都市と同様、民泊も課税対象に含まれます。仙台市内の民泊事業者も特別徴収義務者としての登録が必要です。

課税判定の基準

宿泊料金の判定は素泊まり換算・消費税抜きで行います。食事代・サービス料・入湯税対象の入浴料を除いた金額が1人1泊6,000円以上であれば課税対象です。

2名1室プランの場合、1人あたりの室料で判定します。例えば1室12,000円(税抜・素泊まり)を2名で利用すれば1人6,000円で課税対象となります。1室11,800円であれば1人5,900円で非課税です。

非課税の範囲

以下に該当する宿泊は課税が免除されます(仙台市宿泊税条例)。

  • 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校の教育活動または部活動に伴う宿泊
  • 保育所、認定こども園、幼保連携型認定こども園等の保育施設が主催する行事に伴う宿泊

修学旅行はこの非課税規定に含まれます。ビジネス出張は非課税対象外(6,000円以上なら課税)です。

民泊事業者の注意点:住宅宿泊事業法に基づく届出住宅も課税対象施設に含まれます。1人1泊の宿泊料金が素泊まり・税抜で6,000円以上となる場合、特別徴収義務者としての登録と月次申告が必要です。

Q.事業者の経営影響はどの程度か?

仙台市宿泊税は定額300円のため、ADR(平均客室単価)が低いほど実効税率が高くなります。仙台市内の主要施設タイプ別に試算しました。

施設タイプ ADR(税抜) 税額/人泊 実効税率 100室・稼働70%の年間税額
ビジネスホテル(低価格帯) 6,500円 300円 4.6% 約766万円
ビジネスホテル(標準) 10,000円 300円 3.0% 約766万円
シティホテル 18,000円 300円 1.7% 約766万円
旅館(秋保・作並温泉) 25,000円 300円 1.2% 約766万円
素泊まり6,000円未満 5,500円 0円 非課税 0円

年間税額はシングル利用100%・稼働率70%の簡易試算。2名利用がある場合は宿泊人数に応じて増加。BB宿泊ラボ編集部試算。

定額制のため、ADR6,000〜8,000円台のビジネスホテルが最も負担感が大きくなります。価格転嫁(宿泊料に300円を上乗せ)するか、税込価格を据え置いて利益率を圧縮するかの判断が必要です。

6,000円の課税ラインぎりぎりの価格帯(5,800〜6,200円)では、料金プラン設計の見直しが発生します。閑散期に5,900円で販売していた客室が値上げで6,100円になれば、宿泊税300円が加わり実質6,400円。競合との価格差に注意が必要です。

Q.特別徴収の登録・申告・納入はどう進めるか?

特別徴収義務者の登録

仙台市内で宿泊事業を営むすべての事業者は、特別徴収義務者としての登録が必要です。仙台市宿泊税条例の施行(2026年1月13日)時点で営業中の施設は既に登録手続きの対象となっています。

新たに宿泊事業を開始する場合は、経営開始の5日前までに仙台市へ登録申請を行います。

月次の申告・納入

特別徴収義務者は、原則として1日から末日までの課税期間について、翌月末日までに申告書を提出し、税額を納入します。

  • 例: 2026年2月分 → 2026年3月31日までに申告・納入
  • 宿泊者から徴収した300円(市200円+県100円)をまとめて仙台市に納入
  • 宮城県分100円は仙台市が県へ払い込む(事業者が県と個別にやり取りする必要はない)

経理処理の留意点

宿泊税は「預り金」として処理します。宿泊者から受け取った300円は売上ではなく預り金勘定で計上し、翌月末の納入時に預り金を取り崩します。消費税の課税対象外です。

問い合わせ先:仙台市宿泊税コールセンター 0120-254-857(フリーダイヤル)。仙台市 財政局 市民税企画課 022-214-8443。

Q.レジシステム改修補助金は使えるか?

仙台市は宿泊税の導入に伴い、事業者のシステム改修を支援するレジシステム改修補助金を設けました。

項目 内容
補助率 10/10(全額補助)
上限額 150万円(超過分は事前協議)
対象経費 既存レジシステム改修、新規レジシステム構築、ハードウェア・ソフトウェア購入
対象外 月額使用料・保守料・消費税・他の補助金対象経費
対象期間 2024年10月4日〜2026年2月27日に支出したもの
受付終了:レジシステム改修補助金の受付は既に終了しています(仙台市公式ページ、2026年5月3日確認)。未申請の事業者は自費でのシステム対応が必要です。

Q.他の自治体と比べてどうか?

仙台市の宿泊税を他の主要自治体と比較します。

自治体 税額 課税基準 方式 施行日
仙台市+宮城県 300円(市200+県100) 6,000円以上 定額・県市併課 2026年1月
東京都 100円/200円 1万円以上 定額・階層制 2002年10月
京都市 200〜10,000円 全宿泊 定額・多階層 2018年10月
福岡市+福岡県 200円/500円(市150+県50) 全宿泊 定額・県市併課 2020年4月
金沢市 200円/500円 5,000円以上 定額・階層制 2019年4月
北海道(道税) 100円 全宿泊 定額 2026年4月
倶知安町 宿泊料の3% 全宿泊 定率 2019年11月

仙台市制度の特徴

  • 県市併課: 福岡に次ぐ2例目。事業者は仙台市に一括納入するだけで、県との個別手続きは不要
  • 6,000円の免税点: 東京都(1万円)より低く、京都市・福岡市(免税点なし)よりは高い。仙台市内のビジネスホテル価格帯を考慮した設定
  • 民泊対象: 住宅宿泊事業法施設も対象に含み、旅館業法施設との課税公平性を確保
  • 非課税範囲: 修学旅行に加え、保育施設行事も非課税とする点は仙台市の独自規定

Q.事業者は今何をすべきか?

仙台市宿泊税は既に施行済です。以下のチェックリストで対応状況を確認してください。

実務チェックリスト

やること 期限 担当
特別徴収義務者としての登録を仙台市に完了(新規開業は経営開始5日前まで) 施行済(即時) 経理/総務
PMSに宿泊税300円(内訳: 市200円・県100円)の税額設定を投入 施行済(即時) システム
課税判定ロジックの確認(素泊まり・税抜6,000円以上 = 課税) 施行済(即時) システム/経理
OTA各社(楽天・じゃらん・Booking・Expedia等)への税率設定登録 施行済(即時) 予約/マーケ
自社直販サイト・宿泊約款・予約確認メールへの宿泊税表記追加 施行済(即時) 予約/マーケ
フロントスタッフへの徴収手順研修(非課税判定・外国人対応含む) 施行済(即時) フロント
月次申告・納入フローの整備(毎月末日締め → 翌月末日まで申告納入) 毎月 経理
価格転嫁方針の決定(宿泊料上乗せ or 税込据え置き) 早期 経営企画/役員
6,000円境界プランの見直し(閑散期料金5,800〜6,200円帯の戦略) 早期 収益管理

FAQ

宿泊税の300円は誰が負担するのですか?
法律上の納税義務者は宿泊者です。宿泊施設は特別徴収義務者として宿泊者から300円を徴収し、仙台市へ納入します。宿泊者への請求方法(外税表示 or 税込表示)は施設の判断です。
素泊まりではなく食事付きプランの場合、6,000円の判定はどうなりますか?
食事代を除いた素泊まり換算・消費税抜きの金額で判定します。1泊2食付き12,000円(税抜)で食事代が4,000円なら、素泊まり換算は8,000円で課税対象。食事代の区分が困難な場合は、合理的な方法(原価率按分等)で算出します。
出張で仙台に宿泊する場合、宿泊税は非課税になりますか?
ビジネス出張は非課税対象外です。素泊まり・税抜6,000円以上であれば、出張であっても課税されます。非課税は修学旅行等の学校教育活動と保育施設行事に限定されています。
秋保温泉・作並温泉の旅館も対象ですか?
秋保温泉・作並温泉は仙台市太白区・青葉区に所在するため、仙台市宿泊税の課税対象エリアに含まれます。旅館業法に基づく施設であれば、素泊まり・税抜6,000円以上の宿泊に300円が課税されます。入湯税(原則150円)とは別途の課税です。
仙台市以外の宮城県内(松島・鳴子温泉等)ではどうなりますか?
宮城県宿泊税は仙台市内でのみ適用されます(2026年5月時点)。松島町・大崎市(鳴子温泉)等の仙台市外の宿泊施設には、現時点で宿泊税は課税されません。ただし、宮城県が今後全域に拡大する可能性は残っています。
PMSが仙台市宿泊税に対応していない場合はどうすればよいですか?
主要PMS(手間いらず.NET、TL-リンカーン、ねっぱんPMO等)は複数自治体の宿泊税に対応済みのため、まずベンダーに仙台市の税率設定(6,000円以上・300円)の追加を依頼してください。自社開発PMSの場合は、税率テーブルに仙台市レコードを追加し、素泊まり換算価格での判定ロジックを実装する必要があります。