結論から言えば、4段階が現場の実態に合う

客室のルームステータスを何段階で管理するか。答えは施設の規模やオペレーションによって変わりますが、多くの施設にとって4段階(Dirty → Clean → Inspected → Ready)が現実的な選択です。2段階では情報が足りず、6段階以上では運用が追いつきません。この記事では、各段階の設計と、段階を増やすときに考えるべきことを整理します。

2段階(Dirty / Clean)の限界

多くのPMSが標準で提供しているのは、DirtyとCleanの2段階です。チェックアウト後はDirty、清掃が終わったらClean。シンプルでわかりやすい。しかし、この2段階では次のことが表現できません。

2段階で問題が起きない施設もあります。規模が小さく(30室以下)、リーダーが全室を清掃と同時にチェックできる施設です。しかし50室を超えると、清掃とインスペクションは別のタイミングで行われるため、2段階では現場の状態を正確に表現できなくなります。

4段階の設計── 各ステージの定義

ステータス遷移表

┌──────────┬──────────────────────┬────────────┬──────────────┐
│ステータス│  定義                │  責任者    │  次への条件  │
├──────────┼──────────────────────┼────────────┼──────────────┤
│ Dirty    │ チェックアウト済み   │ フロント   │ 清掃スタッフ │
│          │ 清掃が必要な状態     │ (自動)   │ が着手       │
├──────────┼──────────────────────┼────────────┼──────────────┤
│ Clean    │ 清掃作業が完了       │ 清掃       │ リーダーが   │
│          │ 検査はまだ           │ スタッフ   │ 検査に着手   │
├──────────┼──────────────────────┼────────────┼──────────────┤
│Inspected │ リーダーの検査が完了 │ 清掃       │ フロントが   │
│          │ 品質基準をクリア     │ リーダー   │ 販売可能判断 │
├──────────┼──────────────────────┼────────────┼──────────────┤
│ Ready    │ ゲストに案内できる   │ フロント   │ チェックイン │
│          │ 販売可能な状態       │            │ でOccupiedへ │
└──────────┴──────────────────────┴────────────┴──────────────┘

Dirty:清掃が必要な状態

チェックアウト処理と同時に自動的にDirtyになります。この段階では清掃チームはまだ手をつけていません。フロントから見ると「まだ入れない部屋」です。Dirtyの部屋が何室あるかは、清掃チームの当日の作業量を示す指標でもあります。

Clean:清掃作業が完了した状態

清掃スタッフが部屋の清掃を完了し、報告した時点でCleanに変わります。ただし、この段階ではまだリーダーのインスペクションが済んでいません。フロントはCleanの部屋にゲストを案内してはいけません。この区分があることで、「清掃は終わったけどチェックはまだ」という中間状態を正しく表現できます。

Inspected:検査が完了した状態

リーダーがインスペクションを行い、品質基準をクリアしたことを確認した時点でInspectedに変わります。手直しが必要な場合はCleanに差し戻します。Inspectedになった部屋は品質面では問題ありません。あとはフロントの判断で販売可能にするかどうかです。

Ready:販売可能な状態

フロントがInspectedの部屋を確認し、ゲストの要望(禁煙・喫煙、フロア指定、ベッドタイプなど)と照合して、案内可能と判断した時点でReadyに変わります。フロントが「この部屋に案内してOK」と判断した状態です。Readyになって初めて、チェックインの割り当て対象になります。

InspectedとReadyを分ける理由

「インスペクションが終わればすぐ売れるのだから、InspectedとReadyは同じでいいのでは」と思うかもしれません。しかし、InspectedからReadyへの遷移にはフロント側の判断が入ります。

つまり、Inspectedは「品質は問題ない」という清掃側の完了宣言であり、Readyは「この部屋を売る」というフロント側の販売判断です。責任の主体が異なるから、ステータスを分ける意味があります。

4段階にする場合、InspectedからReadyへの遷移をフロントの手動判断にするか、Inspected=即Readyとする自動遷移にするかは施設のオペレーションによって選択します。VIPブロックや設備問題を考慮する必要がない施設では、自動遷移でも問題ありません。

3段階や5段階はどうか

3段階(Dirty / Clean / Ready)

インスペクションのステージを省略するパターンです。リーダーが清掃と同時にチェックできる小規模施設では十分に機能します。ただし、インスペクションの「完了/未完了」がステータスに表れないため、検査を飛ばしても気づきにくいという弱点があります。品質管理の仕組みを重視するなら、4段階のほうが安全です。

5段階以上(Dirty / In Progress / Clean / Inspected / Ready)

「清掃中(In Progress)」を追加するパターンです。清掃スタッフが部屋に入った時点でIn Progressに変える運用です。フロントから見ると「いま清掃中」であることがわかり、完了見込み時間の推定に使えます。

ただし、段階を増やすほどステータスの更新頻度が上がり、現場の操作負荷が増えます。清掃スタッフが「部屋に入ったらIn Progressにする」という操作を毎回確実に行うかどうか。運用が定着しなければ、ステータスの信頼性がかえって下がります。

2段階
30室以下の小規模施設向き
4段階
50〜200室の標準的な設計
5段階+
運用負荷とのトレードオフ

段階数を決める3つの判断基準

基準1:清掃とインスペクションが別の人か

同じ人が清掃してその場でチェックするなら、CleanとInspectedを分ける意味は薄い。別の人がチェックするなら、分けるべきです。

基準2:フロントが販売判断を個別に行うか

検査完了の部屋をすべて自動的に販売対象にするなら、InspectedとReadyは統合できます。VIPブロックや設備保留が頻繁に発生する施設では、分けたほうが安全です。

基準3:現場のスタッフが確実に更新できるか

段階が多いほど理想に近い運用ができますが、更新の手間も増えます。スマートフォンでワンタップで更新できる仕組みがあるか、それとも事務所のPCに戻って操作する必要があるか。操作の手軽さによって、運用可能な段階数が決まります。

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段階数よりも大切なこと

ステータスの段階数は手段であって目的ではありません。段階を増やしても、フロントと清掃が別々のシステムで管理していたり、更新にタイムラグがあれば食い違いは解消されません。

大切なのは、「同じステータスを、同じ定義で、リアルタイムに共有できているか」です。2段階でも全員が同じ画面を見ていれば機能しますし、6段階でも更新が遅れれば意味がありません。

まずは自施設の現状を確認してください。清掃完了からフロントのステータス更新まで何分かかっているか。その間にフロントが「本当に入れますか?」と電話しているか。電話が発生しているなら、ステータスの段階数か更新の仕組みに問題がある、ということです。