「どの部屋が稼いでいるか」は簡単には見えない
出典: ビジネスブレーン PMS運用施設1,200件の分析データ(2024年)
ホテルのルームタイプ別収益は、ADRだけで比較すると間違えます。同じADRでも、清掃時間・清掃コスト・稼働率・客単価(館内消費)が違うため、単純なADRランキングは収益ランキングにはなりません。
実務では「稼働 × ADR − 清掃コスト − 消耗品コスト」でルームタイプ別粗利を見るのが基本です。これを年間ベースでランキングすると、「売上は小さいが粗利が出ている部屋」「売上は大きいが粗利が薄い部屋」が見えてきます。
ルームタイプ別収益の計算式
ルームタイプ別年間粗利 = 年間稼働室数 ×(ADR − 清掃コスト − 消耗品コスト)
清掃コストは広さ・設備・バス形態で大きく変わります。スイートルームは単価が高くても清掃時間2〜3時間、ダブル洗面・ジェットバス・ベッド2台など、消耗品+人時コストが嵩むため、スイートの粗利率がスタンダードを下回る施設は珍しくありません。
清掃コストの内訳
人時コスト(清掃員の時給 × 所要時間)、消耗品(アメニティ・リネン・ミネラルウォーター・コーヒー)、客室備品のクリーニング頻度。1室あたり清掃コストは、スタンダード1,500〜2,500円、デラックス2,500〜3,500円、スイート3,500〜4,500円が目安です。
隠れた機会コスト:稼働ロス
リノベーション・設備故障・閑散日放置で稼働が低いタイプは、「稼いでいない=損失を出している」と同義です。年間稼働率40%を下回るタイプは、料金設計の見直しか、プラン再構成の対象になります。
ルームタイプ別ランキングの作り方
軸1:年間粗利額ランキング
年間粗利の大きい順に並べると、「客数は多いが低単価で利益率が薄い」「客数は少ないが高単価で利益貢献が大きい」タイプが見える化されます。
軸2:1室あたり粗利ランキング
同じ粗利でも、1室あたり(RevPAR − 清掃コスト)で見ると、「数を揃えるべきか、単価を上げるべきか」の判断材料になります。
軸3:稼働率ランキング
稼働率の低いタイプは、販売チャネル戦略・価格戦略・商品設計の見直し候補。ピーク日すら売れ残るタイプは、プラン統合・料金タイプ変更を検討します。
収益ランキングを打ち手につなげる
下位タイプの販売強化
稼働が低いタイプは、OTAランク調整・早割プラン・長期滞在優待などで稼働を押し上げます。「売れない理由」を部屋の機能・価格・プラン・写真・文言で切り分けることが重要です。
上位タイプへの誘導設計
高粗利タイプの在庫を確実に売るため、アップセル(予約時・チェックイン時)を設計します。予約時「+3,000円でデラックスへアップグレード」はシンプルですが高効果。
リノベーション投資判断
粗利最下位のタイプに大きな投資をしてもROIが出ません。「上位タイプの増設 vs 下位タイプの改修」を粗利試算で比較すると、投資判断の論点が具体化します。
ある中規模シティホテルで、スイートルームの年間粗利がスタンダードツインの6割以下だった事例があります。スイートの料金設定が市場より2割低く、清掃コストが逆に高いのが原因。スイート料金を15%上げ、アップセル導線を整備したら、翌年の粗利は1.4倍になりました。
まとめ:ルームタイプは粗利で見る
客室販売は「稼働 × ADR」で語られがちですが、利益を見るなら「稼働 ×(ADR − 清掃コスト − 消耗品コスト)」で粗利ランキングを作ります。下位タイプの販売強化、上位タイプへの誘導、リノベ投資判断──全ての論点がこのランキングから生まれます。
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