LOS(Length of Stay)の定義:1予約あたりの宿泊日数

約1.3〜1.5泊
国内シティホテル平均LOS(参考)
約2〜3泊
訪日外国人平均LOS(参考)
約65%
全国客室稼働率(参考)

出典: 観光庁「宿泊旅行統計調査(2024年)」、JTB総合研究所「旅行マーケティング調査(2024年)」、JHMA統計より作成(参考値)

LOS(Length of Stay、平均宿泊日数)とは、1予約あたり何泊しているかを示す指標です。計算式はシンプルで「延べ宿泊数 ÷ 予約件数」。たとえば1ヶ月で延べ900泊を600予約で捌いていれば、LOSは1.5泊になります。

LOSはADR・OCC・RevPARと並ぶ重要指標でありながら、日常のレビューでは見落とされがちです。観光庁の宿泊旅行統計でも、宿泊施設の稼働率と同様に施設タイプ別・地域別に差があり、シティホテルは1.3〜1.5泊、リゾートホテルは1.8〜2.5泊、訪日外国人では2〜3泊と幅があることが示されています。

LOSが重要な3つの理由

第一に、LOSが1泊増えるだけで延べ宿泊数が底上げされ、RevPARが上昇します。第二に、清掃・リネン交換のコストは「予約件数」にほぼ比例するため、LOSが長いほど運営効率が上がります。第三に、長泊客は館内消費(F&B・ランドリー等)が増える傾向があり、付帯売上の原資になります。

LOSと平均客単価の違い

LOSは「泊数」、客単価は「1予約あたりの売上」です。この2つを混同しないよう注意が必要です。LOSが伸びても客単価が下がっていれば、1泊あたりのADRは低下しています。両軸で見る習慣が重要です。

LOS分布の見方:平均値だけでは見えない構造

LOSは平均値だけで判断するのは危険です。平均1.5泊の施設でも、1泊比率70%/3泊以上10%という構造と、1泊比率40%/2泊比率40%/3泊以上20%という構造では、打ち手が全く異なります。必ず分布(ヒストグラム)で見ます。

LOS分布(シティvsリゾートの典型例) 0% 20% 40% 60% 80% 予約構成比 1泊 2泊 3泊 4泊 5泊以上 宿泊日数 シティ(平均約1.3泊) リゾート(平均約2.0泊)

図1: LOS分布の典型例(概念図) / 出典: ビジネスブレーン作成

1泊集中型の特徴

シティホテル・ビジネスホテルは1泊比率が60〜70%を占めることが多く、週次で「月曜〜木曜は1泊、金土は1〜2泊」といったパターンが見られます。LOSを伸ばすには、延泊プラン・ワーケーションプラン等の商品設計が有効です。

分散型の特徴

リゾート・温泉地では1泊〜4泊まで広く分布します。連泊割・滞在型プラン・館内周遊パスなどで2泊以上への誘導余地が大きい一方、短泊流入も無視できないため、両方のセグメントを意識した設計が求められます。

セグメント別LOS傾向:誰が長く泊まっているか

LOSは全体平均だけでは意味が薄く、セグメント別に分解することで示唆が得られます。特に以下3つの切り口は有効です。

国内vsインバウンド

観光庁の統計では、訪日外国人のLOSは国内旅行者より1泊程度長い傾向が指摘されています。ヨーロッパ圏・北米圏は3泊以上の長期滞在が多く、アジア圏は2泊前後が中心です。インバウンド比率が上がると、全体LOSも自然に伸びます。

チャネル別(直予約/OTA/旅行会社)

直予約は公式サイトの連泊割やリピーター特典が効きやすく、LOSが長い傾向があります。OTA経由は1泊の短期出張利用が多く、LOSが短めです。旅行会社経由の団体・パッケージツアーはLOSが2〜3泊で安定するケースが多く見られます。

目的別(ビジネス/レジャー/MICE)

ビジネス利用はほぼ1泊集中、レジャーは1〜3泊、MICE(会議・団体・インセンティブ)はイベント期間に紐づく3〜4泊が典型です。目的別LOSを把握すれば、「どの市場を伸ばすとLOSが上がるか」の判断軸が明確になります。

全体LOSを0.1泊伸ばそうとすると途方もない施策が必要に感じますが、特定セグメントのLOSを0.5泊伸ばす方が現実的です。「レジャー客のLOSを2.0→2.5泊に」のように、セグメント単位で目標を設定するのが王道です。

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トレンド分析:短泊化・長泊化の波を読む

LOSは年々変化します。過去3〜5年のトレンドを見ると、市場全体の構造変化が見えてきます。

短泊化トレンドの兆候

コロナ禍以降、国内出張は「日帰り化」「1泊短期化」が進み、LOSが低下した施設が多く見られました。一方で、リモートワーク浸透により中堅〜中小地方都市では「2泊+ワーケーション」型の需要が伸び、LOSの二極化が起きています。月次のLOS推移を12ヶ月移動平均で見ると、こうした構造変化が可視化できます。

長泊化トレンドの兆候

インバウンド回復期・大型イベント期・ワーケーション需要増などは長泊化の追い風です。STRやAmadeusの国際統計でも、欧米圏のLOSは1.5〜2倍と国内より長く、インバウンド比率と全体LOSには正の相関が観察されています。この波を捉えられる施設は、客室単価・館内売上の両方で収益を伸ばしやすい傾向があります。

前年同月比で見る

LOSはシーズン性が強いため、単月の上下で一喜一憂せず、前年同月比で変化を捉えます。3ヶ月連続で低下傾向が続く場合は構造変化の疑いがあり、商品設計・価格戦略の見直し候補になります。

価格戦略との連動:LOSを伸ばす値付け

LOSは受動的な結果ではなく、価格戦略で能動的に動かせる指標です。以下3つのアプローチが基本になります。

連泊割引(Length of Stay Discount)

2泊目以降に一定率の割引を設定する手法です。観光庁の統計でも、リゾート・温泉地の施設では「連泊割」が定着しており、2泊で5〜10%、3泊で10〜15%が目安レンジです。ただし繁忙日には連泊割を閉じる、あるいは割引率を下げる「MLOS(Minimum LOS、最低連泊日数制限)」との組み合わせが有効です。

MLOS(最低宿泊日数制限)

需要ピーク日に1泊客を制限し、連泊予約のみを受け付ける手法です。例: 年末年始や大型連休の初日に2泊以上のみ受付。1泊客を取り逃すリスクはありますが、OCCとADRの両方を守れる効果があり、繁忙期の収益最大化に有効です。

延泊プラン・長期滞在プラン

4泊以上の長期滞在客向けに、ランドリー特典・ワークスペース・レイトチェックアウトなどを組み合わせた商品を設計します。1泊単価は下げつつ、累計客単価と館内消費で収益を取る発想です。

ビジネスブレーンのホテルダッシュボードは、LOSをセグメント別・チャネル別・月次トレンドで可視化し、価格戦略との連動を支援します。詳細はホテルダッシュボードのサービス紹介をご覧ください。