チャネルミックスは「感覚」ではなく「試算」で決める

3〜8%
直予約の実効コスト率目安
10〜15%
国内OTAの実効率目安
20〜30%
海外OTA(広告込み)の実効率目安

出典: 棚8 親記事「OTA手数料の実態2026」に基づく各OTA実効率レンジ(2025〜2026年時点)

「直予約比率を上げたい」「Booking.comを絞りたい」「じゃらんを厚くしたい」といった議論は、チャネルミックスを変えたときの手残りインパクトを試算しないと判断できません。本稿では、月次売上をベースにチャネル別の実効率で手残りを並べるシンプルなシミュレーション方法を解説します。

シミュレーションの基本式

チャネル別の手残りは、以下で計算します。

手残り = 売上 × (1 − 実効コスト率)

実効コスト率は、「表示手数料+広告費率+ポイント負担率+決済手数料」を足した数字。チャネルごとに試算値を準備し、売上配分を変えたときに手残り総額がどう動くかを見ます。

実例:月間売上2,000万円でのシミュレーション

現状(Asis)のチャネル構成

チャネル 構成比 売上 実効率 手残り
Booking.com 30% 600万円 22% 468万円
Expedia 15% 300万円 25% 225万円
じゃらん 20% 400万円 13% 348万円
楽天トラベル 15% 300万円 12% 264万円
直予約 15% 300万円 6% 282万円
その他(団体等) 5% 100万円 8% 92万円
合計 100% 2,000万円 平均17.3% 1,679万円

シミュレーション用の仮置きデータ。実効率は自施設の実績で差し替えてください。

改善案:直予約+10%pt、Booking.com▲5%pt、Expedia▲5%pt

チャネル 構成比 売上 実効率 手残り
Booking.com 25% 500万円 22% 390万円
Expedia 10% 200万円 25% 150万円
じゃらん 20% 400万円 13% 348万円
楽天トラベル 15% 300万円 12% 264万円
直予約 25% 500万円 8%(広告増で微増) 460万円
その他 5% 100万円 8% 92万円
合計 100% 2,000万円 平均15.2% 1,704万円

この例では、月間手残りが25万円改善(年換算300万円)。直予約比率を上げるためのメタサーチ費用・リマケ広告費を吸収できるかが、この改善幅を現実的に実現できるかの判断軸になります。

シミュレーションは完璧な数字でなくていい。実効率を±2%の幅でレンジ試算し、意思決定に十分な情報が得られる粒度で進めることが重要です。

自施設のチャネルミックス、月次で試算できていますか?

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実効率の精度を高める

OTA別の実効率はレンジで持つ

Booking.comなら「通常期18%/繁忙期25%」、Expediaなら「Accelerator運用時28%/非運用時20%」など、シーズン・運用状況別に実効率レンジを持つと判断精度が上がります。

直予約コストの全部原価

直予約の実効コストは決済手数料だけでなく、メタサーチCPC、リスティング広告費、予約エンジン月額費、CRM・メール運用費など全部原価で積み上げます。ここを過小評価すると、直予約にシフトしても利益が増えない結果になりがちです。

シナリオ別シミュレーションの運用

四半期レビュー

四半期ごとに実効率を更新し、次四半期の構成目標をシミュレーションで決定します。Booking.com優位期、国内OTAキャンペーン期、インバウンド繁忙期などシーズンごとのシナリオを持ちます。

感度分析

「Booking.com実効率が+3%になったら」「直予約がメタサーチ強化で比率+5%になったら」といった単一変数の変化で手残り総額がどう動くかを見ると、どのレバーが効くかが明確になります。

まとめ:「チャネル別コスト率」を握っているかが勝敗の分岐

手数料シミュレーションは複雑なモデルではなく、チャネル別の実効率と構成比を並べるだけで十分な意思決定情報になります。施設ごとのチャネル別コスト率を月次で更新できる体制を整えることが、OTA戦略の成熟の出発点です。

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